「君が……君が急に僕の前から姿を消して、ずっと心配していたんだ……。
まさか、本当にこんな事になっていたとは……」

よもや、大の男が泣きもすまいが、和臣の声が心なしか震えている。
伊織の変わりように、それほどまでに打ちのめされたのだろう。
しかし、それで十分だった。
それだけで、伊織は不思議と、今までの辛さが半減するような気がしたのだ。

「 黙っていて……すみませんでした……」

抱擁をそっと解き、伊織は和臣と向かい合った。
何の隔たりもなく、間近で二人の視線が交差する。
和臣は、昨夜のみならず今夜も――しかも登楼までして、
伊織に会いに来てくれたのだ。