退屈な夏休みを過ごしていた律。
そこへ突然現れた資産家の東久世次男・瑪瑙に半ば強引に
承諾させられた律は、母の代わりに一週間メイドとして働くことになる。

「男なのに、なんでメイドなんだ!?」
「……しつけがなってねぇな」

律にだけ横柄な態度をとる瑪瑙に、最初は反発していた律。
しかし、メイドの仕事として瑪瑙の部屋に呼ばれ、会話を重ねるごとに
瑪瑙への興味が増していき、次第に魅かれていく――。
……雨はきらい。

幼い頃、ひとり雨に打たれていたあの日を思い出すから。
不安で、怖くてどうしようもなかったあの日を――。

物腰は穏やかだが、どこか冷たい印象を与える翡翠。
しかし、琥珀にとっては翡翠こそが世界の中心だった。
記憶を失った琥珀に、名前と温もりを与えてくれた人だから。

あまりに純粋な琥珀に執着する翡翠と、身分違いの恋に揺れる琥珀。
身体を重ねても、心はすれ違う一方で……。

「珊瑚は珊瑚だからいいんだよ」

幼い頃から「東久世家」の人間としてしか見てもらえなかった珊瑚を
初めて一人の人間として認めてくれた人、石榴。
石榴の前だと、珊瑚は素直に甘えることができた。

こんな関係が、いつまでも続けばいいと思っていた、そんなある日。
珊瑚の部屋を訪れた石榴はいつもと様子が違っていて……?

いつから、ぼくのことを「姫君」と呼ぶようになったんだろう?
どこか、くすぐったいような、はがゆいような気持ちになるけれど
昔のように「珊瑚」と呼んで欲しい――。